ういろうは漢字で書くと「外郎」と書きますが、羊羹と見た目がよく似ているため「何が違うの?」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

今日は、そんなういろうと羊羹の違いから、紹介していきます。

実は、ういろうと羊羹の一番の違いは、その固め方にあります。羊羹は、寒天で固めるものがほとんどなのに対して、ういろうの場合は、米の粉や、わらび粉、小麦粉などとこしあんを混ぜ、蒸し固めて仕上げます。

そのため、ういろうは「外郎餅」とも呼ばれ、羊羹に比べると「モチモチ」とした食感も特徴の一つです。逆に羊羹は、特に水羊羹だと「つるん」としたノド越しになります。

その他、羊羹を固めるための寒天は、熱を加えると溶けてしまう、熱に弱いお菓子ですが、ういろうの場合は、小麦粉などで蒸し固めて作ってあるので、熱にもある程度強いお菓子と言えます。

そのため、時間が経って、少しかたくなってしまったういろうは、湯せんにかけると出来立てのモチモチ感を味わえます。また、天ぷらにするという驚きの食べ方もあります。

ちなみに、天ぷらにしたういろうは、揚げまんじゅうのような濃厚な甘さに仕上がります。もしも、ういろうが余っちゃった、という時には試してみてください。

さて、羊羹とういろうの味の種類はですが、同じようなものが多く、こしあんを使ったものの他、白あんを使った白いものや、抹茶を加えた抹茶味、黒糖を加えた黒糖味、桜の葉の入った桜味、柿のスライスを入れた柿ういろうなどがあります。

なお、ういろうで有名なのは、山口県の他に名古屋や三重県などがあり、それぞれ蒸し固める際に加えるものを変えるなど、製法の違いにより、味や食感の違いを出しています。

ところで、ういろうは「外郎」と書きますが、その見た目と名前には少しも関係が無いように見えますね。その名前の由来について、紹介しましょう。

ういろうとは、元々は「陳宗敬(ちんそうけい)」という中国からやってきた人物の、「礼部員外郎(れいぶいんがいろう)(らいほうえんういろう、とも)」という役職の名前でした。

この人物の役職とは、薬に関する役職でした。彼は、日本でも「透頂香(とうちんこう)」という、薬用人参やジャコウなどが主成分の、家伝の丸薬を広めました。

この丸薬は、口の中を爽やかにする、また、のどや胃腸、心臓にもよく効くとして、たいへん評判になったようです。

しかし、その「透頂香(とうちんこう)」という名前は日本人には難しかったのか、あまり広まらず、代わりに彼の役職名である「外郎」の部分が注目され、「外郎の薬」、「外郎薬」という名前で広まりました。

また、この「外郎」という役職を持った「陳宗敬」という人物は、人をもてなす際に、現在のういろうの元となった菓子を、来客にふるまったとされています。

当時のその菓子は、黒糖を使用して作られており、黒に近いような茶色いお菓子でした。

その黒糖の茶色が、外郎薬の色とも似ていたためと、菓子自体の名前もわからなかったため、その菓子のことも「外郎」と呼ぶようになったと言われています。

ういろうの名前の由来には、一人の人物の役職名と、薬の名前が関係しているのですね。また「わからなかったから、この名前で呼ぶようになった」という点も面白いところです。

さて、この薬の方の外郎ですが、現在でも小田原の方で製造されています。

「仁丹」のような小さな丸い粒の薬ですが、環境の変化により原料が手に入りにくくなったということで、貴重なものになっているようです。