おしるこは、冬の寒い日には特においしい食べ物です。その人気から、自販機でも売られているのを見かけます。粒あんの入っているものもありますね。

缶の飲料として手軽に楽しめ、冬に行われるお祭りなどでも見かける和菓子「おしるこ」ですが、いったいいつ頃から存在しているのでしょうか?

おしるこは、江戸時代末期にはあったと言われています。元々は「餡汁粉餅(あんしるこもち)」や「汁粉餅(しるこもち)」と呼ばれ「おしるこ」とは、この略称ということになります。

一番最初のおしるこは、汁はほとんど無く、焼くなどした餅の上に、甘く煮た小豆を乗せたものだったようです。しかし、江戸では餅のないおしるこが誕生しました。

それは、こしあんをお湯で溶いたものと一緒に、塩漬けのシソの実などを添えて提供される「御膳しるこ」という名前のおしるこでした。

のちに、江戸を含め、全国で餅や白玉だんごが入るようになり、現在の形になりました。

そのため、現在でも粒の無いおしるこを「御膳しるこ」また、粒があるものは「田舎しるこ」と呼ぶ場合があります。

ちなみに、この御膳しるこは現在でも食べることができ、特に浅草の「梅園」は有名店です。また、現代の変わり種のおしるこには「懐中しるこ」というものがあります。

懐中しるこは、簡単に説明するとインスタントのおしるこです。乾燥させたあんこの粉を、お湯で溶かすとおしるこになります。

一見おしるこに見えないというところが面白いところです。その見た目は、あんこの粉がもなかの皮に包まれており、少し大きめのもなかか、大きいはまぐりのようです。

あんこの粉がバラバラせずに、見た目も美しく、お湯でふやけてあんこの絡んだもなかの皮もおいしい和菓子です。もしも京都などで見かけたら、ぜひお土産にどうぞ。

さて、おしるこの付け合わせ、と言えば塩漬けのシソの実や、塩昆布ですね。シソの実の付け合わせは、おしるこが誕生した時から付け合わせにされていました。

「あんこなどの甘いものに、塩気を加える」ということは、実はおしるこ以外にも行われています。

例を挙げると、まんじゅうの中身のあんこに少し塩を加えたり、おはぎのあんこに少し塩を加えたり、ということがあります。

これは、「味の対比効果」を期待したもので、舌に対して「より甘くておいしい」という錯覚を起こさせるものです。日常的に使われている例を挙げると、スイカに塩をかけて食べるのもこのためです。

つまり、甘いおしるこにしょっぱいものを添えることにより、おしるこの甘みが引き立ち、おしるこが、より甘くおいしく感じられる、というわけですね。

おしるこによく添えられる「シソの実」ですが、これは何かというとシソの「花の穂」です。穂の状態では、よくお刺身などに添えられていることがあります。

シソは、風味もよく、口の中をさっぱりとさせてくれますね。

お刺身などとそのまま食べるのにも、塩漬けにするのにも、花が枯れていない状態で摘み取って使うと良いとされています。そうするとプチプチの食感もあり、口当たりも良いです。

また、シソの実には甜茶の50倍、シソの葉の100倍という抗アレルギー作用や、生体内抗酸化作用もあると言われています。

おしるこを食べる際には、塩気のあるものを忘れずに、また、シソの実がある場合は、その爽やかな香りと塩気も、楽しんでみてくださいね。