もなか、というと和菓子よりも、アイスクリームの方を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。

確かにあれもなかではありますが、あんこを包んでいるものとアイスクリームを包んでいるものでは、少し皮質が違います。

そんな、アイスクリームにもなっているもなかですが、その起源はどういったものだったのでしょうか。

もなかは、漢字で書くと「最中」と書きます。その名前の起源は、源順(みなもとのしたごう)という平安時代の歌人がよんだ歌によるものでした。

その歌は「水の面に 照る月浪をかぞふれば 今宵ぞ秋の最中なりける」というものです。この歌の季語は中秋の名月を指す「秋の最中」で、秋の美しい月についてよんだ歌です。

その後、江戸時代になって一番最初に売り出されたもなかは、「最中の月」という名前で有名になり、歌によまれたように、そのお菓子の姿とともに、月と関係のある名前でした。

その見た目は、現在のように皮であんこが包まれたものではなく、もなかのような生地のせんべいに、薄く甘い味をつけた麩焼きせんべいのようなものだったようです。

形は丸く、秋の美しい満月のようだったことから「最中の月」という名前がぴったりだったということです。

その後「最中まんじゅう」というものが出回りました。これは、現在のもなかと近い和菓子だったようです。

平安時代の歌から菓子のヒントを得るという、昔の菓子職人の、頭の柔らかさが垣間見えるエピソードですね。

さて、そんな風流な誕生秘話を持つもなかですが、その作り方はどういったものなのでしょうか。

もなかと言えば、その皮が特徴的ですね。もなかの皮は、もなかにとって命とも言える存在です。

皮が無ければただのあんこなのですから。もなかの皮には、桜や菊など古典的なものを始めとし、色々な形があります。

それには、ひょうたんや、お寺の鐘、閉じた形の番傘、ゴルフボールなど面白いものもたくさんあります。これらの形は、もなかの皮専用の型で作られます。

もなかの皮は、餅米の粉を水と混ぜ、蒸して作られます。これを、薄く伸ばしたものを専用の型に入れ、丁寧にぱりっと焼き上げます。

ぱりぱりに焼き上がった皮ですが、あまりにも長時間あんこを詰めたまま置いてあると、皮が湿気てしまう可能性があるので、もなかは早めに食べるのがおすすめです。

ぱりっ、さくっ、としたもなかの皮と、あんこのねっとり感は、くせになるおいしさです。また、そのようなことを考慮してか、もなかでも皮とあんこを別々に包装して売っている和菓子屋さんもあります。

食べる方が、食べる直前に自分で好きなだけあんこを詰めて食べる、というスタイルのもなかです。あんこが好きな方には特におすすめですね。

ちなみに、アイスクリームのもなかの皮は、このもなかの皮に改良を加えたものであり、餅米の粉以外にも、小麦粉やコーンスターチ、水飴などが配合されている場合があります。

これは、あんこと違って水気のあるものを挟むことから、耐水性をつけ皮を丈夫にする、という意味があります。