甘いスポンジケーキのような「カステラ」、あの茶色の焦げ目のところが特に好き、という通(?)の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最近では、「生カステラ」、「半熟カステラ」などという変わり種も登場し、卵と砂糖の甘い香りが、小さなお子様から若い女性にも人気のお菓子ですね。

そんなカステラですが、その名前の由来は「スペインの地名である」という説があります。

その昔、カステラは、長崎にキリスト教の宣教師がやって来た際、キリスト教などと一緒にポルトガル人が伝えた、と言われているお菓子です。

有名なカステラのお店の箱の装飾には、それを思わせる絵柄が入っているものも見かけますね。

彼らは、カステラについて説明する際に、「これはカステラのお菓子です」と説明していたようですが、その「カステラ」とはスペインにある地名「カステーリャ」を、ポルトガル読みの「カステーラ」にしたものでした。

つまり、元々は「これはカステラというお菓子ですよ」という意味ではなく、「カステラという地域のお菓子ですよ」という意味だったのですね。

また、伝わった当初のカステラは、小麦粉、卵、砂糖でできており、現在のものと比べると「パウンドケーキ」のようなサックリした焼き菓子だったようです。

ですが、餅やまんじゅうなど、しっとりモチモチとした食感を好む日本人には、パサパサした口当たりは好まれなかったようで、まもなく日本人に合うように改良がされました。

そして、蜂蜜、水飴などが加わり、しっとりした食感に仕上げられました。このような改良が落ち着き、今のようなフワフワのカステラの形になったのは、明治以降のことだと言われています。

さて、カステラは、この時に改良されて蜂蜜や水飴などが加わったことにより、どら焼きの生地やあんこ、豆類などの、日本の食材とも合うお菓子に変化しました。

「中村屋」などで見られるお菓子には、どら焼きの生地でカステラを巻いたお菓子があります。また、「シベリア」というお菓子は、カステラ生地のスポンジで羊羹の層を挟んだ不思議なお菓子です。

ちなみにこのシベリア、溶けている状態の羊羹を、カステラ生地の上に流し込み、もう一枚のカステラ生地をその上へ乗せて固めるため、カステラ生地と羊羹とはぴったり密着しています。

食べると、甘いカステラ生地とあんこが、どら焼きのような味わいでなかなかおいしいお菓子です。

西日本よりも東日本の方が多く流通しているお菓子なのだそうです。見かけた方はぜひお試しください。

その他、カステラには、チョコレート味や抹茶味、桜の時季には桜色のものが売り出されたりと、色合いも豊かです。また、生地に粒あんや黒豆、うぐいす豆などが練り込まれたものもあります。

また、表面積が広く、焼き印で文字などをつけるのに良いことから、最近では、敬老の日や父の日、母の日、出産の内祝いなどに、感謝の言葉や子供の名前を焼きつけたものなども人気ですね。

これからも、どのような変化を遂げてゆくのか、楽しみな和菓子の一つです。