あんこは特に、和菓子には欠かせない存在ですね。和菓子が好きな方の中には「まんじゅうや餅などの、外側の皮がなくても、あんこだけでも食べられる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あんこは、地域の特色や、作る和菓子に合わせても、色々なものが作られています。まずは、小豆から作られる、粒あんやこしあんがあります。

また、うぐいすあんパンなどに入っている黄緑色があざやかな「うぐいすあん」は、青エンドウ豆からできています。

白あんパンなどに入っている白あんは、白インゲン豆からできています。なお、この白あんは手亡(てぼう)あんとも呼ばれます。

この手亡あんに使われるお豆は、お惣菜売り場などで「手亡豆」や「おたふく豆」という名前で、甘い煮豆になって売られていますね。

この白あんは、色が白いことで様々なバリエーションをつけることが可能になっており、抹茶や桜を加えて抹茶あんや桜あんとしたり、また、上生菓子とも呼ばれる「練りきり」のベースや、同じく上生菓子の「きんとん」のあんなどのベースにもなります。

その他、枝豆を使ったずんだあん、さつまいもを使った芋あん、紫芋が使われる紫芋あん、かぼちゃで作るかぼちゃあん、栗で作る栗あんなど、特に糖質が主成分のものは、あんこを作りやすい食材です。

さて、そんな和菓子には欠かせないあんこですが、どうしてできたのでしょうか。

ここで改めて、一般的なあんこの紹介ですが、小豆の粒が残っているあんこを粒あん、粒の無い、なめらかなものをこしあんといいます。二つのあんこの違いは、粒の有る無しと、作り方です。

粒あんは、柔らかく煮た小豆に、砂糖と少量の塩を加えて、水気がある程度無くなるまで煮詰めて作ります。一方、こしあんは粒あんよりもひと手間かかります。

柔らかく煮た小豆を、豆と煮汁に分け、豆を少しずつ網目の小さな漉し機にかけ、豆の中身を漉します。漉せたら、それに水を加えて上澄みを捨てることを何度か繰り返します。

出来上がった「生あん」を巾着に入れ、水気を絞ってから鍋に移し、砂糖を加えながら練り上げます。

そんな、和菓子に欠かせないあんこの誕生についてですが、羊羹の記事でも触れましたが、あんこは元々は、肉類の代用品であったと言われています。

鎌倉時代に、中国から点心というものが伝わりました。点心には肉類が使われていましたが、その頃の日本人には、宗教上の理由もあり肉類を食べることがありませんでした。

そのため、肉類の代用品として、身近な食材である小豆などの豆類を使い始めたのが、あんこの由来だと言われています。

饅頭などにも使われていたあんこは、肉類の代用品ということで、当初は塩で味付けされたものだったようです。

その後、室町時代になり砂糖が段々と普及し始めたことや、江戸時代にかけては茶道が発達したことで、甘い和菓子の需要も増えました。

そのようなことなどが影響し、あんこの味も塩味のものから甘いものへと変わっていきました。外国の文化を日本に合うものに変化させたことが、あんこが誕生するきっかけとなったのですね。