あれもこれも実は和菓子…日本人にとって身近な「和菓子」

「和菓子」というとあなたは何を思い浮かべるでしょうか?美しい花の形のお菓子でしょうか。それともあんこが詰まった大福でしょうか。

和菓子は、昔から私達のごく身近にあり、暮らしの中に自然と溶け込んできました。普段何気なく食べているお菓子の中にも、和菓子は隠れています。

例えば、おだんごや羊羹、大判焼き、お赤飯も和菓子屋さんではよく見られる食べ物です。柏餅やおはぎなど、四季の行事に結びついているものも多くあります。

このサイトでは、そんな私達の身近に潜んでいる和菓子をいくつか取り上げ、その歴史などについてご紹介していきます。 「この和菓子一つにも、そんな歴史があったのか」と、あなたにとって和菓子をもっと好きになるきっかけや新しい発見になれば幸いです。

また、最近では、魅力的な洋菓子も毎年のように海外から輸入され種類が増えています。そのため「和菓子なんて古くさい、洋菓子の方がおしゃれで好き」という方もたくさんおられますね。

しかし、和菓子にも魅力的なものは多くあります。洋菓子が好きな方にも、振り返ってみてもらえる機会になるよう、良い情報を伝えていきます。

このサイトの記事を読み終わったあとに、少しでも「和菓子食べてみようかな?」という気持ちになって頂ければ嬉しいな、と思います。

和菓子は健康食です…食べ過ぎはNGですが

まず最初のアピールポイントとして、和菓子は健康食です。…もちろんあくまで「お菓子」なので、主食にしたり食べ過ぎたりはよくありませんが。

それでも洋菓子の代わりに食べるには、とても健康的だと言えます。というのも、洋菓子と比べると和菓子は、小豆や山芋などが使われていることで食物繊維やポリフェノール、ビタミンB1など、身体に嬉しい成分が豊富に含まれています。

また、洋菓子には、バターや生クリームなど動物性の油脂が多く使われているのに対し和菓子にはほとんど使用されていません。そのため低カロリーで、素材自体も体にとても良いのです。

「和菓子が好きでない」と、いう方からよく聞かれる話で「つぶあんを食べた時の小豆の皮が、モサモサしたり歯に挟まるのが嫌だ」という意見がよくあります。

そのモサモサも食物繊維で身体には良いのですが、洋菓子はいつも舌触りが滑らかでフワフワしているようなものが多く、特にこちらが好きな方には耐えられない食感なのでしょう。

しかし、小豆にも安いものから、高いものまであります。「小豆の皮がモサモサする」という方にはぜひ、京都などの和菓子文化が発達している場所で、小豆を使った和菓子に挑戦して頂ければと思います。

良い粒あんの小豆の皮は、歯に挟まったりせずに、男爵のじゃがいものようにホロホロと口の中でくずれます。きっと、和菓子が嫌い、という方にも「これなら食べられる」と納得して頂けると思いますよ。

それでは、これから色々な和菓子についてご紹介していきます。もしも興味が出てきたら、実際に食べてみてくださいね。

あんこ、あってこその和菓子

あんこは特に、和菓子には欠かせない存在ですね。和菓子が好きな方の中には「まんじゅうや餅などの、外側の皮がなくても、あんこだけでも食べられる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あんこは、地域の特色や、作る和菓子に合わせても、色々なものが作られています。まずは、小豆から作られる、粒あんやこしあんがあります。

また、うぐいすあんパンなどに入っている黄緑色があざやかな「うぐいすあん」は、青エンドウ豆からできています。

白あんパンなどに入っている白あんは、白インゲン豆からできています。なお、この白あんは手亡(てぼう)あんとも呼ばれます。

この手亡あんに使われるお豆は、お惣菜売り場などで「手亡豆」や「おたふく豆」という名前で、甘い煮豆になって売られていますね。

この白あんは、色が白いことで様々なバリエーションをつけることが可能になっており、抹茶や桜を加えて抹茶あんや桜あんとしたり、また、上生菓子とも呼ばれる「練りきり」のベースや、同じく上生菓子の「きんとん」のあんなどのベースにもなります。

その他、枝豆を使ったずんだあん、さつまいもを使った芋あん、紫芋が使われる紫芋あん、かぼちゃで作るかぼちゃあん、栗で作る栗あんなど、特に糖質が主成分のものは、あんこを作りやすい食材です。

さて、そんな和菓子には欠かせないあんこですが、どうしてできたのでしょうか。

ここで改めて、一般的なあんこの紹介ですが、小豆の粒が残っているあんこを粒あん、粒の無い、なめらかなものをこしあんといいます。二つのあんこの違いは、粒の有る無しと、作り方です。

粒あんは、柔らかく煮た小豆に、砂糖と少量の塩を加えて、水気がある程度無くなるまで煮詰めて作ります。一方、こしあんは粒あんよりもひと手間かかります。

柔らかく煮た小豆を、豆と煮汁に分け、豆を少しずつ網目の小さな漉し機にかけ、豆の中身を漉します。漉せたら、それに水を加えて上澄みを捨てることを何度か繰り返します。

出来上がった「生あん」を巾着に入れ、水気を絞ってから鍋に移し、砂糖を加えながら練り上げます。

そんな、和菓子に欠かせないあんこの誕生についてですが、羊羹の記事でも触れましたが、あんこは元々は、肉類の代用品であったと言われています。

鎌倉時代に、中国から点心というものが伝わりました。点心には肉類が使われていましたが、その頃の日本人には、宗教上の理由もあり肉類を食べることがありませんでした。

そのため、肉類の代用品として、身近な食材である小豆などの豆類を使い始めたのが、あんこの由来だと言われています。

饅頭などにも使われていたあんこは、肉類の代用品ということで、当初は塩で味付けされたものだったようです。

その後、室町時代になり砂糖が段々と普及し始めたことや、江戸時代にかけては茶道が発達したことで、甘い和菓子の需要も増えました。

そのようなことなどが影響し、あんこの味も塩味のものから甘いものへと変わっていきました。外国の文化を日本に合うものに変化させたことが、あんこが誕生するきっかけとなったのですね。

きんつば…カクカクした不思議なあんこのカタマリ

「きんつば」とは、あんこの塊を約1、5センチくらいの厚さの六面体にしたものを、薄い小麦粉の衣や米粉の衣で焼き付けながら覆ったもので、不思議な正方形の和菓子です。

中身は粒あん、または、さつまいもで作られた芋あんであることが多いですが、桜の咲く時季には桜あんなどのきんつばも出回ります。

金色でもなく、丸いツバのようでもないこの和菓子ですが、なぜ「きんつば」と呼ばれているのでしょうか。今回はきんつばについて紹介します。

きんつばは、元々京都で生まれ、江戸に伝わった和菓子だったようです。名前もきんつばではなく、「ぎんつば」でした。

江戸に伝わった時に、「ぎん」から「きん」に変わった理由については、いくつかの説があるようです。一つは、銀よりも金の方が縁起が良いからという説です。

その他、その頃の京都での主流の硬貨が銀色だったのに対し、江戸で主流の硬貨は、金色だったから、などの理由が伝えられています。

さて、きんつばの「ツバ」とは、刀の持ち手と刃の間にある、楕円形の円盤のことです。

現在のきんつばは四角いものがほとんどですが、伝わった当初のものは、このツバのように丸い形だったようです。

いつしか「丸いよりも四角い方が美しい」、「四角くすることで、鉄板の上で焼くのに場所の効率が良い、一度にたくさん焼ける」などの理由から、四角い形が主流になりました。

なお現在でも、丸いきんつばを作っているところもあります。富山県では、丸いきんつばが今も作られており、名物となっています。

さて、現在のきんつばは、名前も「ぎんつば」から「きんつば」に変わり、形も丸いものから四角いものが主流となっています。

元々の丸いきんつばは、あんこを丸い形に整えて、米の粉でできた衣を焼き付け、本物のツバのような模様も焼き付けていました。

それに対して、江戸に伝わったあとの六面体のきんつばの衣は、小麦粉へと変化しました。

この頃、江戸と京都でどちらが良い和菓子を作るか、と競り合っていたとも考えられ、京都のものと区別する意味で、小麦粉に変わったのかもしれません。

また、中身に使うあんこも、丸形からキッチリとした四角い形になり、その形を保つため、寒天で固められるようになりました。

寒天で固められているあんこ、ということで特に芋あんの場合は、芋ようかんを四角く切って、それに生地を焼き付けるものもあります。

また、中身のあんこを取り巻く衣の焼き付け方については、店舗によって二種類ほどの違いがあるようです。

なるべく薄い生地の衣になるように、あんこの表面にハケで生地を塗って焼き付ける店と、あんこを手で持ち、生地の入ったボウルにサッと付けて焼く店があり、仕上がったあとの食感などに違いがでてきます。

きれいに衣が焼き付けられたきんつばは、ぱくっと噛んだ瞬間に、表面の衣がぷちっと弾け、あんこのしっとり感が際立ちます。

きんつばを食べる際には、衣の違いにも注目してみると面白いですよ。

らくがん…飾るだけじゃなくて食べてください!おいしいですよ

「らくがん」というと「お盆に出回る、ハスや菊の花、またナスなどの形の飾り物」を思い浮かべる方がほとんどなのではないでしょうか。

「食べ物ではない」「ただの飾り物だ」と思われている方もおられるかと思うので、らくがんとは何か?というところから紹介していきます。

らくがんとは、漢字で書くと「落雁」となります。和菓子の分類では、金平糖や、おせんべいの八つ橋、おこしなどと共に「干菓子」というお菓子に分類される、水分量が15%以下のお菓子です。

らくがんの原料は、「落雁粉」と「砂糖や水飴」という、ごくシンプルな材料でできています。そのため、らくがんを作る際には、材料選びもとても大切な作業となります。

この「落雁粉」というのは、一度蒸した餅米を干してカチカチに乾燥させ、細かく粉状にひいたものを、さらに炒ったものです。

この落雁粉と砂糖や水飴を混ぜ、色々な形の「専用の木型」に押し固めたものを、乾燥させて仕上げます。材料も作り方も、とてもシンプルなお菓子です。

この専用の木型は、らくがんを作っている老舗の和菓子屋では、そこで代々使用している歴史的な価値があるものが置いてある場合もあります。

らくがんのおいしいところは、その口溶けです。口に入れた瞬間に、ほろっとほどけるようなその食感は、お茶うけにぴったりです。

そのため、特に良い素材でできているらくがんは、茶道のお茶の席で使用されることも多々あります。

というのも、作る際の木型や、落雁粉に着色する色によって、色々な季節を表す形のものを作り出すことができ、一年を通して旬のお菓子になることができるからです。

お盆にスーパーに並ぶらくがんは、菊などが多いですが、お茶の席で用意されるものには、水紋を表したものや、イチョウの葉、アジサイの花や、亀に鶴、鳩など、色々なものがあります。

その見た目に、箱を開けた瞬間に「わあ…」という歓声がこぼれそうなほど、可愛いものが多いです。

もし京都などで見かけたら、ぜひお土産に持って帰ってみてくださいね。きっとその美しさと可愛らしさに驚かれることでしょう。

さて、「落ちる雁」と書くらくがんですが、これにはどういった起源があるのでしょうか。

…これには、いくつかの説があります。有力なある一説では、最初に作られたらくがんの見た目が関係している、という説です。

当初のらくがんは、その表面に黒ごまが散らしてあったようです。

その様子が、滋賀県の優れた風景「近江八景」の一つ、大津市の浮御堂の辺りである「堅田落雁(かただのらくがん)」という風景に似ていたそうです。

その風景とは、琵琶湖の上を夕日の中、黒い雁の影が並んで飛ぶ風景であり、それに似ているということから落雁と呼ばれるようになったと言われています。

しかし京都の方では、近江八景についての逸話が語られる以前から、「このお菓子は、らくがんと呼ばれていた」という説もあり、明確な理由は明らかになっていません。

たい焼き、おめでたいその形に餡をいっぱい詰めて

たい焼きは、寒い冬には特に恋しくなる和菓子ですね。焼きたてのアツアツを頬張れば、あんこの甘さと、その温もりで、とても幸せな気持ちになれます。

また、たい焼きを食べる際には、「頭の方から食べるか?それともしっぽの方から食べるか?」というのは、たい焼きの食べる際の定番の質問ではないでしょうか。

…ちなみに、この質問に関しては、「頭から食べて、あんこの少ないしっぽを食べ終わりに持ってくることで、さっぱりと食べ終わりたい」という方が多いようですよ。

そんな冬に愛されるたい焼き、その起源はどういったものだったのでしょうか。

たい焼きは、元々は「今川焼」が元になって発案された焼き菓子だったようです。以前は、たいの型の他にも色々な動物の型があったそうです。

ですが、たいの型の見た目の縁起の良さから、この型が最終的に残ったということです。

ちなみに、「今川焼」は江戸時代に神田の方の「今川橋」の近くで売られていたため、今川焼と呼ばれるようになりました。

今川焼は、地域によって呼び名が異なる場合があり、関西の方では「大判焼き」や「回転焼き」と呼ぶこともあります。

関東でも、お祭りの露店では今川焼を「大判焼き」というのれんで売っているのを、時々みかけますね。

さて、元になったのは、その今川焼ですが、たい焼き型自体の発祥の地は、麻布十番にあるたい焼きのお店だと言われています。

こちらでは、現在もそのたい焼きを食べることができ、特に寒い冬の日などは行列ができていることもあります。

さて、そんなたい焼きですが、その皮には二種類の食感の違いがあるのをご存知ですか?

たい焼きは、小麦粉に卵、砂糖を混ぜた生地を、型に流し込んで、その上に粒あんやカスタードクリームなどを落として、再び生地を流し込み、もう反面の型とプレスするようにして焼き上げます。

この時に流し込む生地には、お店の特色などにより二種類の生地があります。一種類は、薄焼きせんべいのような、ぱりっとした生地であんこが包まれたものです。

もう一種類は、厚みのあるふっくらした生地であんこが包まれたものです。ぱりっとした生地の方は、全体的に厚みのないさっぱりとした皮に仕上がります。

そのため、あんこなどの中身をたくさん詰めることができます。あんこが好き、中身ぎっしりの方が好き、皮よりも中身を楽しみたい、という方には、断然こちらの皮のたい焼きの方がおすすめです。

ふっくら厚みのある生地のものは、生地はフワフワですが、その分、中身の具が入るスペースが少なくなってしまいます。

中身よりも生地のモチモチ感を楽しみたい、生地と中身を程よい加減で食べたい、という方にはこちらの方がおすすめです。

ふっくらモチモチの生地には、小麦粉などの他に、餅粉や、タピオカ粉を配合して作られているという違いもあるようです。

あなたはどちらが好みでしょうか?季節や、気分によって食べ分ける、というのも良いかもしれませんね。